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活用事例

Case Study

セミオーダー式kintoneパッケージで業務を再設計!REALITY Studios株式会社様が月80時間以上の業務時間を自動化・効率化により削減

REALITY Studios株式会社について

六本木ヒルズゲートタワー内 REALITY Studios株式会社 様

【事業内容】VTuberプロダクション事業
【本社】東京都港区六本木6-11-1 六本木ヒルズゲートタワー
【HP】https://reality-studios.inc/
【創業】2023年1月
【導入部署】VTuverプロダクション事業部
【導入ツール】kintone
【導入時期】2023年10月

REALITY Studios株式会社は、グリーホールディングスの100%子会社として設立されたVTuberプロダクションだ。所属VTuberのプロデュースやマネジメントを中心に、急成長する配信コンテンツ市場の最前線を走り続けている。

そんな同社の業務には、親会社グリーホールディングス株式会社の業務システムでは対応しきれない特性があった。
グリーグループが展開するゲーム事業などとVTuberプロダクション事業では、大きく事業構造が異なる。
VTuberプロダクション事業ではトレンドの移り変わりが激しく、「明日この配信をやりたい」「このイラストを今日中に仕上げたい」といった現場の声に即応する体制が必要だった。
実際、同社ではフリーランスのクリエイターとの小規模かつ短納期の取引が日常的に発生している。プロジェクトを牽引しているREALITY Studiosコーポレート部の部長の武田幸輝氏はこう語る。

「日々、試行錯誤を繰り返しながら走っているので、スピード感が全く違う。『来週どうする』『明日これをやろう』といった要望が日常的に発生する」

こういった事業特性から、発注先の多くが個人クリエイターで、発注単価も比較的小さい。そのため、既存のゲームビジネス用に設計されたシステムでは、業務オペレーションがかえってボトルネックとなり、スピード感ある対応ができないという課題が浮き彫りになっていた。

このような課題を解決するため、キャップドゥー・ジャパンとREALITY Studiosの業務改善プロジェクトが動き出した。
本記事では、実際にどのような仕組みを構築し、どうやってDXを実現したのか、REALITY Studios株式会社コーポレート部の部長武田氏にお話を伺った。

コーポレート部部長:武田幸輝 氏
REALITY Studios:3Dスタジオ

サイボウズkintoneで月1,000件超の申請を支える“迷わない仕組み”を構築

まず着手したのは、「支払い申請のしやすさ」の改善だった。
VTuberプロダクションという事業の特性上、クリエイターとのやり取りは日々発生し、それに伴って発注・稟議・支払いの各手続きが常に並行して動いている。その中でも支払い申請は、これまでkintone上の稟議アプリと、SaaSの支払い申請システムを別々に使って処理していたため、1件あたり5〜6分ほどかかっていた。
それに伴い今回の業務改善では、稟議アプリに入力した内容をもとに、そのままkintone内で支払い申請まで完了できる仕組みを構築した。
外部システムを使わずに、1つの統合システムで申請が完結するようになったことで、1件あたりの処理時間は従来の5〜6分から1分以下へと劇的に短縮された。
今回の業務設計では、具体的に以下のようなポイントが効果を発揮している。

①稟議から支払い申請までをkintone内で完結、ワンクリックで連携可能に
 他システムとの往復や入力の手間をなくし、1件1分以下の処理を実現

②支払い種別に応じた科目や税額自動補完
 計算ミスを防ぎながら、手入力の手間も削減

③支払いステータスの一覧表示で状況把握が容易に
 支払いが完了しているかの確認作業を不要に

④直感的なUIで、誰が使っても迷わない設計に
 属人化を防ぎ、申請のボトルネックを解消

「費用稟議から直接支払い申請ができるようにしたことで、月1,000件超の申請にかかる時間が劇的に削減されました」と武田氏は語る。
実際に1件あたり4〜5分の削減でも、月1,000件も処理すればトータルで約80時間分の工数削減になり、現場ではその分の時間を、より価値の高い業務に充てられるようになっている。

サイボウズkintoneで月1000件超の申請を支える“迷わない仕組み”を構築

kintoneで支払いステータスを「見える化」「この稟議どうなった?」をゼロに

今回の業務改善の中で、支払い処理の“見える化”も大きな改善ポイントだ。
これまで、「この稟議、もう支払われたのか?」等を確認するには、経理部門に都度問い合わせる必要があった。月1,000件以上の支払いを管理する中で、こうした確認作業がコミュニケーションコストとして蓄積されていた。

それらを踏まえ、稟議アプリと支払い申請アプリの連携設計を見直した。kintone上でそれぞれの申請情報を紐づけることで、稟議の一覧から支払いステータスをリアルタイムに確認できるようになった。

「支払状況をわざわざ聞かなくても、自分で確認できるようになりました。『これ支払い済んでるんだ』『今こういう状況なんだ』って一覧で見られるんです」(武田氏)

結果として、「いまこの支払いどうなってる?」という確認作業そのものが不要になった。属人化を排除しつつ、確認のための部門間のやりとりを最小化することで双方の業務効率が向上し、業務全体の透明性とスピードが飛躍的に向上した。

実際に活用しているkintone画面例。1レコードからPDF出力、メール作成、送信予約まで可能

現場のスピードに応える、kintoneセミオーダー型パッケージを提供

現場のスピードに応える、kintoneセミオーダー型パッケージを提供

REALITY Studiosと共に構築した今回のワークフローは、現場のスピード感や業務特性にしっかりと寄り添いながら設計された業務基盤だ。
特徴的なのは、ゼロからのスクラッチ開発でもなければ、既存の業務パッケージそのままでもないという点。

あらかじめ用意された基本構成をベースに、自社の業務に合わせて必要な部分だけ柔軟にカスタマイズしていく方式、それが今回採用した「セミオーダー形式」である。
ゼロからすべてを構築する場合に比べ、セミオーダー形式であれば初期構築のスピードと柔軟性の両方が得られる。kintoneの特性を活かし、業務にフィットする仕組みを自社の業態やフローに合わせて整えていけることが最大のメリットと言える。

実際REALITY Studiosでは、運用開始後もフィールド追加や項目の見直しを繰り返し、現場の声をもとに常に使い勝手を磨いてきた。
「一番最初に作ったものをそのまま使い続けることはほとんどなくて、運用していく中で『ここをもう少しこうできないか』『これがあった方が便利』という声が自然と出てくるんです」(武田氏)
このように、「Quick and Dirty=走りながら改善する」スタイルを支える土台として、セミオーダー形式の柔軟性が現場にフィットしている。

そんな中、同社で活用しているkintoneの業務基盤を、セミオーダー型のパッケージとして整え、まもなく提供を開始する予定だ。このパッケージは、スタートアップ企業が立ち上げ時からしっかりとした仕組みで事業を始められる手段となる。
「すぐに使える・自分たちで育てられる業務基盤」として、導入時の負担を大きく軽減できるのが特長だ。

また、IT部門がリソース不足で「業務改善に取り組みたくても動けていない」と悩んでいる現場においても、現場主導で運用改善を進められるkintone×セミオーダーの組み合わせは非常に有効だ。

判断に集中できる現場へ。kintoneとAIで見据える、これからの業務のかたち

REALITY Studios:オフィス風景

REALITY Studiosでは、kintoneを活用した業務基盤の整備を一旦の区切りとせず、さらにその先を見据えた改善にすでに取り組み始めている。
現在の仕組みで、稟議・支払いのプロセスが大幅に効率化された一方で、「まだ人が手を動かしている業務」は多く残っている。今後は、それらを自動化し、省力化を進めることでさらなる飛躍につなげていく。

武田氏は、AIを活用した次の業務像をこう描く

「例えば、『この情報を拾って取引先登録しておいて』と指示すれば、AIエージェントが自動的にkintoneに入力してくれたり、必要情報を揃えた上で『稟議申請をあげておいて』と言えば、見積もりなどを添付して申請を代行してくれるようなシステムを目指しています」

こうした構想は、単なる業務の効率化にとどまらない。人が判断すべき業務に、より多くのリソースを割ける体制づくりにもつながる。AIとkintoneの連携による自動化の可能性を追求し、REALITY Studiosの業務基盤はこれからも進化を続けていく。

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